
背景
あるD2Cの食品ブランドから、こんな相談を受けました。
「このキャンペーン商品、ひとり1点までにしたいんです」
定番の要望ですが、いざ実現しようとすると一筋縄ではいきません。
Shopifyアプリは豊富にあるようで、細かい条件を制御できるものとなると、途端に選択肢が減るのが実情です。
課題
アプリでの実装では、費用や管理の面で不安が残る。
そこで今回は、テーマ側でJavaScriptによる制限をかける方向にしました。
ただ、それだけだと「制限あり商品用のテーマを作り、必要なときに手動で切り替える」運用が必要になります。
それでは現場の負担が大きい。
そこで私は、メタフィールドで制御可能な仕組みに置き換えることを提案しました。
設計とアプローチ
構成はシンプルです。
- 購入ボタンの手前でJavaScriptによるチェック処理を走らせる
- 上限数(例:1点)を超えていたらアラート表示とボタン無効化
- この処理を走らせるかどうかを商品ごとのメタフィールドで制御
さらに、このロジック自体をモジュール化し、他のテンプレートやテーマにも移植しやすい形に整えました。
実装そのものは軽量ですが、どう再利用できるかを考えた構成です。
結果と変化
最終的に、クライアントの希望どおり1点までの購入制限をフロントエンドで実現できました。
もちろん、これはあくまでブラウザ上での制限なので、開発者ツールなどを使えば回避は可能です。
でも、それも含めて予算や工数、実行速度とのバランスを考えた上で、ベストな実装だったと自信を持って言えます。
汎用化と拡張性の視点
このような局所的な要件ほど、構造を一般化しておく意義が大きいと感じます。
単発の対応だったとしても、再利用性を意識しておくことで、他案件での工数削減やエラー時の迅速な処理、複数テーマへの展開など、地味に効いてくるメリットが多いのです。
その意味で、今回のメタフィールド制御も次に効くカスタムになりました。
最後にひとこと
こういった細かい対応こそ、他の仕組みを壊さずに済むかどうかが大事です。
今回の実装では、クライアント側の負担を減らすための工夫(メタフィールド化)を自発的に提案しました。
一見すると小さな工夫かもしれませんが、「構成を分かっている人の提案だ」と信頼してもらえる、そんな手ごたえのある案件でした。